油圧プレスの種類

小さなものから大きなものまで

安全のイメージ

ガチャンと挟むのが基本のプレス機ですが、用途に合わせて沢山の種類が開発されているのでそれらを眺めているだけで時間が経つのも忘れてうっとりと何時間でも過ごすことができる人だって世の中には何人かいそうです。 樹脂製品を製造するための射出プレスは射出機と成形システム型締機の複合機みたいなもので、一気に樹脂製品を生産するとっても画期的なアイデアの詰まったとびきり素敵なマシーンです。 輪軸圧入抜き取りプレスはタイヤ、つまり車輪と車軸の圧を抜いたり入れたりするためのもので、形のあるものを形成するのではなく加工に近い作業をする、少し変わったタイプのプレス機です。 こうした変わったものもありますし、ノーマルに毛が生えた程度の変種もあり、金属粉やセラミック粉を金型に注入してプレスすることで製品を作る粉末成形プレスもちょっとだけイメージと違ったタイプに分類されそうです。 鉄っぽいのを加工するなら金属板をプレスしそうなものですが、そうではなく粉末状の材質を使って機械内部で完成形へといきなり向かうこの思い切りの良さは考案者は天才なのかな、と感心させられてしまいます。 加工後のねじれや良くない変形を矯正する矯正プレスというのもあり、これはロール矯正機であるべき姿に強制的に矯正するためのプレス機です。 これら変り種以外の通常っぽい役目を与えられたマシーンもたくさんあり、建設業で使われる建材を成形するための建材成形プレス、鍛造素材を望んだ形に成形する鍛造プレス、細くて長いパイプや支柱などを加工するための長尺板金成形プレスなんかは名前をきくだけで想像ができそうな雰囲気です。 でも聞けば納得ですが、家具や建材に使われている長尺物をどうやって加工していたのか、こんなに長いものを大量生産している工場はとっても広いのだろうな、と漠然とイメージしていただけの人も多そうで、この油圧プレスが無い時代はそのイメージに近い製造方法をしていたのだろうと思うと人類の進歩の早さにはいくら感謝しても足りないくらいです。 大きいものや重たいものを加工するのはとても大変そうですし、長いものもそれに匹敵するやっかいさがあると思うのです。 なので長尺板金成形プレスをカタログで初めて見た工場長は小躍りしそうなほど喜んだのではないでしょうか。 それかその時はグッと気持ちを抑えて他の作業員には気持ちを悟られないようにしてこっそりひとりでトイレの個室へ入り、扉を閉めて鍵をかけて念のため上から覗かれていないか、カメラが設置されていないか確認をしてから年甲斐も無くガッツポーズをしたのかな、と想像してしまいます。 今では当たり前のように工場で使われているのでしょうが、市場に登場した直後はとんでもない騒ぎだったのかなと思わせられる長尺板金成形です。 他にも金型にパイプ状の素材をセットしてから高圧で液体を注入して素材の端を圧縮するバルジ成形プレスも、パイプ状の製品を製造するのには使われます。 ガラス繊維に樹脂を浸みこませてからフィルムで両面を挟んでくるんた材料を金型に載せて油圧プレスを加熱と加圧を同時に行うFRPモールデングプレスも、複雑な設計があってこそ誕生したマシ-ンでしょう。 ファインブランキングプレスは半抜きや絞りのような2次元ではなく3次元の加工に向いている未来的なプレス機です。 薄板やアルミ板の曲げ加工にはプレスブレーキが大活躍ですし、じつに多くの種類の油圧プレスが世界各国の工場で所狭しと週休1日で頑張っているのです。 休みの日は整備士の点検に付き合わされることも多く、ほとんど無休で働いているマシーンもいますが決して愚痴をこぼしはしません。 それぞれが自分の使命をしっかりと理解しており、それに応じようと歯を食いしばって生産の手を緩めることをしないのです。